ほっかいどう元気びと

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2018年5月6日のゲスト

塩谷 隆治さん
「笑華尊(しょうかそん)塾」代表
塩谷隆治さん

札幌市出身。
弘前大学教育学部を卒業後、高校の保健体育の教師として15年間勤め、2011年に退職。
教員生活の中で「これからの時代は心だ」と感じ、大人を中心としたココロの塾「笑華尊塾」を立ち上げ、講演や研修などを中心に活動を続けている。

村井裕子のインタビュー後記

 これまで沢山の本から生き方のヒントを貰ってきた。いろいろな節目で辛かった時に貪るように読んだ本の言葉の数々は、今考えると、今の自分を作るすべての素になっているなぁとつくづく思う。ということは、やはり“辛いこと”も大事なスパイスか。香辛料を生かすことで生き方の旨味が増し、年と共に芳醇になっていけばいいのだ。
 かなりの本を読んだのだから、それらの中の心に響いたワードを“ビックデータ”みたいに抽出して、私はどういう価値観で出来上がったのかを再検証出来たら面白いと思うのだが、まあ、そんなことしなくても今感じていることや信じていること、選び取ったその集積の結果が自分そのものとも言えるのだろう。
 心に留まった生き方ヒントの中からひとつを取り出すとすれば、「すべては自分の見方、考え方次第」という概念。人がどうの、周りがどうの・・・ではなく、自分の考え方ややり方を変える勇気を持つことで、ものごとは180度変わり得るということ。同じ事柄でも楽観的に見れば「まあ、いいか」と受容出来、行動もそれに伴うが、悲観的に見れば「なんでこんなことが」と立ちすくんでしまう。同じように、何かをやるか、やらないのか・・・「やる」と言葉にすれば方法も見つかるし、「無理」と言ってしまえば何も始まらない。さらには、笑おうとするのか、泣いて暮らすのか・・・すべては自分が「こうしよう」と思えば、自分の人生も運命も“選べる”のだ。そんな“コペルニクス的転回”は人生を何倍も楽しく豊かにさせる。だから、気づいた人からどんどん広めていけばそれは素敵な世の中への貢献。そんな人が増えれば、世界はちょっとずついいほうに向かう。確実に。
 そんなことを今回のインタビューで再確認させていただいた。

塩谷隆治さん 5月最初の『ほっかいどう元気びと』のお客さまは、「笑華尊塾」代表の塩谷隆治さん 45歳。なにやら楽しそうなエネルギー溢れる漢字が当てられているが、読み方は「しょうかそんじゅく」。もちろん、「松下村塾」の吉田松陰を尊敬してやまないところから命名したとのこと。この塾を基軸にして、“元氣アップ”をテーマに講演会や研修、講座を開いているという。もともとは高校の保健体育の教師をされていた塩谷さん、その15年の教員生活の中で「これからの時代は心だ」と感じ、教師を辞めて大人を中心とした塾を立ち上げたのが2011年。それ以来、“人間力”を高めるための学びの場を提供し続けてきたとのこと。
 心を元気にするという重要性は、不登校や引きこもりの問題からも叫ばれているが、塩谷さんがまず対象にしたかったのが大人だったという。子供を取り巻く大人達。親や先生達の多様な悩みや不安が少しでも解消されればそれに伴って子供の環境も整ってくる。だから、大人のための元気塾。当てた字のように、“ひとりひとりが華であることに気づき、お互い尊敬尊重し合って心について学ぶ塾”。そうして、PTAの現場や先生方の研修、経営者向けなど年間200回以上の講演などを積み重ね、去年からは小中学生向けの「笑華尊塾」も開講したとのこと。学校の内側からの教育を尊重しながら、教育現場の外側からフォローをするという塩谷さんオリジナルの取り組みだ。
 元気アップの方法は塩谷さんがご自身の学びの中から編み出したものだが、大事なのはやはりその人その人の中での“気づき”と“行動”。そこをどう掘り起こすかということと、日常に落とし込んで貰うことなのだと伝わってくる。最も“アウェイ感”を感じるのが60歳以上オール男性経営者向けの講演会なのだと笑って話されていたが、前向きに捉える秘訣や笑顔でいられるコツ、周りを元気にするコミュニーションの大切さなどを、ゲーテの「人生最大の罪は不機嫌である」という言葉と共に伝えるという。“上機嫌”でいることが周りにとっても自分にとっても最高の効能があるという価値観を受け取って貰いたいという思いだ。
 「そうは言ってもそんなことは難しいよ、塩ちゃん」ともよく言われるそう。そういう反応も想定内。そんな時には、「だから、トレーニングが大事です」と、意識を変えて新しい方法を習慣化させることの大事さを伝えるのだという。
塩谷隆治さん 収録後にも、“自分自身が上機嫌でいられるトレーニング”の一端を話してくれたが、例えば、“言葉の選択”。「無理だ、ダメだ」という代わりに、「大丈夫、ついている、出来る」への変換。そして、“身体”を使うということ。イライラしたらスキップをしてみるとか、コミュニケーションに「ハイタッチ」を取り入れるという方法。身体という道具を有効に使うことでプラスのムーブメントにしていくという説明になるほどそういう方法もあったのかと合点がいく。「私は、『日本ハイタッチ普及協会の会長』を名乗っています。勝手に会長で、全然、NPOでも何でもないですけど」と、自然な動作でハイタッチを誘う。手をぱちんと合わせるだけで、確かに、距離感がぐっと縮まり、笑顔も引き出される。多くの人が“元氣アップ”のコツに触れてほしいと感じたひとときだった。

 私が道内各地で担当する講座のひとつに「話し方・コミュニケーション」の分野がある。塩谷さんとアプローチは違えど伝えたい概念は一緒だと気づく。私が受講生や塾生達と共に磨き合いたいのも、“ハウツー”以上に人としての土台である“人間力”だ。最近は、『話す力の根本トレーニング』という講座名にしているが、その根本は人の心の“根”。それを深く伸ばさずに本当の「伝える力」は養えないと思って取り組んでいる。
 そして、すでに開講して十数年が経つが、益々“心の根本”を磨く重要性が高まっていると痛切に感じているし、“人間力”というキーワードに取り組む参加者の真剣さも年々増している。
 これからの時代は心だと塾を立ち上げた塩谷さんはスタートから7年。インタビューを終えて、ふと思う。分野やアプローチの仕方は様々でも、同じような概念と共に“心の根本”を耕す取り組みに汗を流している人があちこちで数を増しているのではないか・・・。
 そんな、“集合的無意識”が導く未来を明るく想像してみたい。みんなが“上機嫌”でいられる世界。そのような“コペルニクス的転回”を。
 そういう世の中を実現させるための方法は、「ものの見方や捉え方をほんのちょっぴり変えること」。そして、塩谷さんも語っていたように、“ちょっとしたトレーニング”。「ムスッとしているのが気持ち悪くなる」までになればひとりひとりの中に劇的な自己変革が訪れる・・・と、私も思っている。

(インタビュー後記 村井裕子)

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