ほっかいどう元気びと

日曜日 あさ9:30-9:50

2018年10月14日のゲスト

伊藤 壇さん
プロサッカー選手/「チャレンジャス」代表
伊藤壇さん

札幌市出身 42歳。
「キャプテン翼」に影響を受けて小学校3年生でサッカーをはじめ、登別大谷高校、仙台大学を経て、1998年に「ブランメル仙台」(現・ベガルタ仙台)に入団。退団後は2001年にシンガポールのチームと契約したのをはじめ、1年に1か国をモットーに2017年までに20の国と地域でプレーをしている。
また、2014年にアジアでプレーする日本人選手のサポートをする『チャレンジャス・アジア』を発足し海外チームと選手の橋渡し役として活動。2017年には札幌を拠点に子どもたちを指導するサッカースクール「チャレンジャス・キッズ」「チャレンジャス・ゴールド」「チャレンジャス・プラチナ」を立ち上げた。

radikoのタイムフリーを使用すると、放送終了から1週間ほど番組を聴くことができます。

村井裕子のインタビュー後記

伊藤壇さん 前々回、前回と、分野は違うが子供達に向き合う「元気びと」の思いに触れた。今回も子供達の未来をスポーツというジャンルから考えている人。プロサッカー選手の伊藤 壇さん(42歳)にインタビューさせていただいた。
 札幌出身の伊藤さんは子供の頃からスポーツ万能。小学3年生から始めたサッカーを極め、「ベガルタ仙台」に入団してプロになるという夢を叶えている。ところが、2年後には退団。そこから先は独自でオリジナルのサッカー人生を切り開いていったという。2001年にシンガポールのチームと契約して以来、2017年までにアジア20の国と地域でプレーをし、いつしか“アジアの渡り鳥”という異名も付いたのだとか。現在は、2014年に発足させた「チャレンジャス・アジア」を通してアジアのチームと日本選手との橋渡し役に尽力し、さらには、札幌を拠点に子供達を指導するサッカースクール「チャレンジャス・キッズ」「チャレンジャス・ゴールド」「チャレンジャス・プラチナ」を立ち上げてサッカー選手を後押しし、しかもご自身も現役。次に所属するべくアジアのチームを尚も模索しているとのこと。
 サッカー選手の夢と言えば、Jリーガーになり、ワールドカップで戦う・・・という道が多く語られるが、アジアに的を絞ったチャレンジングな独自の道はどう切り開かれていったのか、その経験を通してサッカー少年達に何を伝えていきたいのか、その思いを伺った。

 “アジアの渡り鳥”という呼び名から想像すると、かなり“ワイルド”な人物像が思い浮かぶ。行動のひとつひとつが大胆な方なのだろうと思い描いていたが、「人には会ってみよ、話してみよ」がこの番組を通して私自身が実感している価値観そのままに、お話させていただいた伊藤さんからは、ダイナミックながらも実はとても計画的であり、繊細であり、とても謙虚に“恩返し”というものを考えている人・・・そんな奥行きが伝わってくる。
 そういう、今の伊藤さんを作ったのは挫折の経験も大きかったとのこと。運動神経抜群の子供時代を経て、レールに乗るように順調にプロになったのだそうだが、そこからが壁だったという。皆がそうするようにサッカー界の頂点に立つことを目標にワールドカップや日本代表も勿論夢に描いていたそうだが、そうなれないと思った時、“見返してやりたい”という反骨精神がエネルギーとなり、「道はひとつではない。無数にある」という気持ちでアジアに目を向けたのだそう。

伊藤壇さん これは、収録後にさらに教えてくれたことだが、その、アジアで力を試そうとシンガポールからチャレンジし始めた2001年頃は周りからの反対も多かったという。「10人いたら9人には批判されました」と伊藤さん。その時に、批判を振り払って自分が決めた道を進めたのはひとつには“反骨精神”から来るものだったそうだが、もうひとつは、当時、肌で感じたアジアの国が持つポテンシャルの高さ。チームのレベル云々ではなく、その可能性と自分の勘の両方を信じたのだと言う。そうして、ベトナム・香港・タイ・マレーシア・ブルネイ・インド・ミャンマー・・・等々、1年に1カ国・地域をモットーに“渡り歩いて” いくうちにアジアサッカーもどんどん盛り上がっていく。“嗅覚”ですね・・・と思わず私。そして、その国と地域をどう選んだかという話に及ぶと、伊藤さんの価値観がより伝わってくるこんなキーワードが。
 「サッカーのレベルとかお金で選んでいないんですよ」
 当時の、アジアはお金にならない、ビジネスが成り立つのか・・・という周りの雑音も何のその、どこの国に自分は住んでサッカーをしたいのかと自分に訊きながら、ガイドブック『地球の歩き方』を参考にアジアの国と縁を繋いでいったとのこと。この『ほっかいどう元気びと』でお話しくださる皆さんは、皆、その行動の原動力について異口同音に「お金ではないんですよ」という、“損得”の向こう側にあるものを楽しそうに表現をされる。プロサッカー選手の伊藤さんの“ものさし”もお金より、何かもっと他の大事なもの。
 それは、挑戦することの大切さを受け継ぐための後進の育成であり、現役選手の道を広げるためのアジアとの橋渡しであり、縁があったアジアチームで監督をして“恩返し”をするという夢なのだということが全体のお話から伝わり、行動力だけではない、計画性と繊細さ、そして、謙虚さという力を感じたのだった。

 アジアのいろいろな場所を、サッカーというスキルひとつで渡り歩いてきた伊藤さんが、今悩みながら学んでいるというのが、子供達への指導の仕方。感覚でサッカーの技術を身に付けてきた自分がその方法を分かりやすく説明することが初めはとても難しかったと言う。しかも、今は、指導方法も変化し、昔のままでは通用しない。上から押し付けるように教えるのではなく、考えさせて、納得させて、自分から動くという指導の仕方をさらに身に付けていきたいと謙虚に話されていた。
 子供を取り巻く世界は難しいことばかりだが、こうやって、いろいろな分野で子供達に寄り添い、未来をより良いものにしようと力を注いでいる人が少なからず、いる。
 そして、どんな分野でも大切なのは、技術の受け渡しは言うまでもないが、それ以上に、やはり、自分自身で選んだ道に誠実に向き合う心なのだろう。それがやはり人の心を揺さぶるのだと今回も感じた。

(インタビュー後記 村井裕子)

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パーソナリティ

村井裕子 フリーキャスター/声と言葉の自己表現「村井塾」主宰

HBCで18年間勤務の後、フリーとして活動。現在は放送や朗読表現活動の他、札幌や帯広など道内各地で「話し方」「朗読」講座を通し、声と言葉の自己表現による人の魅力作りにも尽力する。

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