ほっかいどう元気びと

日曜日 あさ9:30-9:50

2020年1月19日のゲスト

木本 晃さん
一般社団法人 北海道観光を考えるみんなの会 会長
木本晃さん

帯広市出身 61歳。
北海道大学建築工学科卒業後、北海道庁へ入庁。新幹線推進室長、航空局長、観光振興監を歴任し2018年に退職。
シンクタンクに勤務しながら、2019年5月「一般社団法人 北海道観光を考えるみんなの会」の会長に就任。講演・セミナーなどを通して観光に対する考えを発信している。

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村井裕子のインタビュー後記

木本晃さん 今回の『ほっかいどう元気びと』は、一般社団法人「北海道観光を考えるみんなの会」会長 木本 晃さん 61歳。2013年に観光業界団体や個人で組織されたこの会を去年から率いる木本さんは、北海道庁時代から広く観光行政に携わってきた人。人口減少が進む中、外から人が来てくれる観光事業は北海道にとって益々重要になっていくが、観光客が“お金を落としてくれる”のを期待していればいいという時代ではもはやない。北海道観光の未来のために今後何をプラスしていったらいいのか、地域に住む人達も幸せになるためには何が必要なのか、お話を伺った。

 まずは、この会の“みんな”の意味を訊いてみる。木本さんによると、北海道のこれからの観光は観光の事業者だけではなく、建設業、農家、漁業者、そして、道民ひとりひとり、みんなで地域が元気になるための方法を考えることが大切で、会としてはその思いを広く共有するために地域へ出向いての説明や各所での講演活動、そこからまた意見を聞き取って行政と繋ぐなどの役割を担っているという。
 今、皆が一体とならなければならないのはなぜなのか、そして、それぞれがまずは何をしていかなくてはならないのだろう。取り組みの背景にあるのは、「観光に来るお客さんの種類や質が変わってきたことを理解することが欠かせない」という時代の変化。まずは、「これまで観光で稼いできた人達にそれを理解してもらうこと、そして、道民みんなが外から来た人達を喜ばせることが出来るということに気づいてもらうことです」と木本さんは言う。海外からの観光客も急増している中で、彼らが求めるものは従来の観光地オンリーではなくなってきているということや、農家や漁村を訪れ地元の人達に笑顔で迎えられたことなどが思い出になったという旅の満足感の変化があるということなども踏まえて、道民全部が観光客を喜ばせることが可能なのだということをもっと浸透させたいのです、と。そして、北海道という場所の“普通のお店”、“普通の食べ物”、“普通の人達”が今は大切な観光資源であるということ。それらを実現させていくために、これまで有名と言われていた観光地の仕組みを多様な個人客向けに変えていくということや、観光とは無縁だった地方にも目が向けられつつある中、提供出来ることは何かを一緒に考えることが必要になってくるという話などから、さらに“みんな”の意味が紐解かれていく。
 道庁時代は、新幹線推進室長や航空局長などを歴任し、現在は、「株式会社 北海道二十一世紀総合研究所」でさらに“道庁時代に積み残した仕事”を継続していると話す木本さん。未来の観光のイメージはどう描いているのだろう。その答えから、さらに“みんな”の意味があきらかになっていく。木本さんは言う。「僕はマイノリティフレンドリーという言葉を使わせてもらっているが、これから増えていく高齢者、障がいを持った方、LGBT、いろんな方にのびのびと観光を楽しんでもらいたい。それが北海道という土地では実現するのではないかと思っている」。そうやって北海道に多く人が来てくれれば、新たなアイディアでビジネスに参入してもらうことも可能性になってくる。旅をする人達の思いが益々多様化していく中で、それらに対応出来る仕組み作りの可能性は地方にもまだまだあるし、各地で今あるものを大事にしながら新たな発想で生み出せるものがきっとあるはずと力を込める。

木本晃さん そして、木本さんのお話で印象深かったのは、「北海道のこれまでは雪まつりを観たとか流氷を観たといった『コンテンツ観光』だったが、今後目指さなければならないのは、“コンテンツの向こうにある”このまち、あのまち。その魅力を発信していくこと」というフレーズ。沖縄にリピート客が多いのは、“また食べに、また会いに行きたい”と思う“地元のお店やおばちゃん”がいるからで、そういういいところを取り入れなければと言う。それは、地域の日常の良さを外の人とも共有して、共に喜び合うという方向性だ。観光というととかく“大きく儲ける”ための仕組み作りを叫ぶ大きな声が目立ってしまいがちで、ちょっと待って・・・という思いになってしまうが、“地方にあるものを大事にする”、そして、“地域の人達も幸せにする”という視点の優しさにほっとする。
 木本さんと私は同年代。右肩上がりの高度経済成長期に育ち、オイルショック、バブル経済、そして、バブル崩壊や“失われた20年”といった激変する時代の空気を吸いながら生きてきて、豊かさも享受した一方で見過ごしてきたことへの反省もあり、今、まさに、あらゆることを何とかしなければいけないと強く感じている世代でもある。木本さんはそんな私の思いに応えて言う。「孫の世代の北海道を作るのは、僕らの最後の仕事。責任。未来に向かってこの地域を残すために何をしたらいいかを考えなければならない」と。“観光”というのは、とかく経済で語られがちだが、木本さんの「地域を残す」「孫世代への責任」「マイノリティフレンドリー」というひとつひとつの言葉を聞きながら、ふと、“誰一人取り残さない”というキーワードが頭に浮かぶ。“観光”も“光”の当て方によっては「持続可能な開発目標=SDGs」に繋げることが出来るのだという発見がとても新鮮だった。

 時代は変わっていく。大事なことは、ただ流されるのではなく、その“風”がどこに吹いていくのかをしっかり見定め、誰のためにどんな“風”にしていけばいいのかを考え行動し続けていくことなのだろう。その後、木本さんからいただいた『しかけ通信』というメール配信の中に、今後益々“核”になっていくのはそこなのだと改めて確信した一文があった。
 「都市計画、まちづくり、リノベーションは、『場所』に注目しがちでしたが、『ひと』に注目すべきかもしれないということです。そして、それは『時代』の産物だろうと思うわけです。・・・」
 場所、モノ、制度、社会・・・その背景にいるのは“ひと”であるという共通認識こそ何かを変える原動力になる。ひとりの思いが繋がって場所もモノも制度も、そして、社会もより良く変わっていく。その“核”の部分を大事にする時代づくりに関わる一員でありたいと強く思う。そして、微力ではあるが、そういう“ひとの思い”を発信する番組に関われたことが誇りであると改めて思う。

(インタビュー後記 村井裕子)

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パーソナリティ

村井裕子 フリーキャスター/声と言葉の自己表現「村井塾」主宰

HBCで18年間勤務の後、フリーとして活動。現在は放送や朗読表現活動の他、札幌や帯広など道内各地で「話し方」「朗読」講座を通し、声と言葉の自己表現による人の魅力作りにも尽力する。

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